日本の問題

少子高齢化で土地管理を誰が担うか

大阪経済法科大学
経済学部教授
米山秀隆 氏

所有者不明の土地解消に向け、相続登記義務化などの法改正、新法制定が行われた。従来は任意だった相続時の登記申請の義務化は、所有者不明の土地発生に一定の抑止力になるとは考えられる。しかし、違反した場合でも、相続人が極めて多数に上るといった「正当な理由」がある場合には、過料は科せられないことになる見通し。また、法務局が義務違反の有無を網羅的につかむことは難しいという問題もあり、実効性には疑問符が付く。

義務化以上に注目すべきは、新法により、相続で取得した土地を手放し国庫に帰属させることを認める制度が新設されたことである。ただし、土地に建物がない、管理にコストがかかり過ぎないなどの厳しい条件を満たしたうえ、10年分の管理費を支払う必要がある。この仕組みを使える人は極めて限られることになる。

しかし、将来的には条件を緩和し、国が積極的に引き取らなければならない時代に入っていく可能性がある。所有者不明土地問題の本質は、いったん取得したからといって、少子高齢化のもとでは未来永劫、子々孫々にわたって責任をもって管理していくことが難しくなっているという点にある。誰も管理できなくなった場合は、公的管理下に置くしかなくなる。これは、少子高齢化時代において、土地管理、すなわち国土管理の責任を最終的に誰が担うかという問題にほかならない。

2021年6月28日

過去記事一覧

米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所、富士通総研などを経て2020年9月から現職。専門は住宅・土地政策、日本経済。主な著書に、『捨てられる土地と家』(ウェッジ)、『縮小まちづくり』(時事通信社)、『限界マンション』(日本経済新聞出版社)など。
【米山秀隆オフィシャルサイト】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏