日本の問題

新型コロナ禍でも続く"日本ブーム"

大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏

東京五輪が閉幕した。新型コロナ禍で1年延期のうえ無観客の開催となったが、大会までの困難な環境の下でトレーニングに励み、最後まであきらめずに戦った選手たちの姿は私たちに感動と勇気を与えてくれた。このことは、日本が今後、新型コロナ禍を乗り越え経済を回復させていくうえで大きな力になるだろう。

同時に、今大会を通じて、日本の魅力を改めて世界に発信できたことにも注目したい。海外の選手は感染防止のため行動が制限された中にあっても、日本への称賛や感謝の言葉をSNSなどに投稿していた。

新型コロナ禍以前、多くの外国人が日本を訪れ、日本の製品や技術、食や文化、さらに「おもてなし」に至るまで日本人気が高まっていた。新型コロナ禍でそのほとんどが消えてしまったように見える。

だが実は、日本ブームは静かに続いていた。それを裏づけるデータがある。日本の化粧品輸出額は2020年も伸びて8年連続で過去最高を記録。今年1~6月も前年同期比約34%も増加しているのである。

農林水産品・食品の輸出額も2020年は8年連続で過去最高、今年1~6月も約32%増だ。日本の食材への需要がますます高まっている。

このような日本ブームの持続は今後の日本経済を支える重要な要素だ。近頃、メディアは何事にもネガティブな論調が多いが、こうしたポジティブな面にももっと目を向けたい。

2021年8月23日

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岡田 晃氏

1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。

岡田 晃(おかだあきら)