飛躍の源泉

「音をつくる」ノウハウとこだわり

岐阜経済大学経営学部講師
大前 智文 氏

滋賀県長浜市木之本町に立地し、生糸(絹糸)・化学繊維を原材料として特殊撚糸製造業を営む丸三ハシモト株式会社。三味線・琴・琵琶をはじめとした和楽器糸を中心に、約400種類以上の楽器絃を製作する。絃は音色を決める大切な要素。プロの演奏家の様々な要望に応え、寄り添い、徹底的にこだわり抜く、「音をつくる」メーカーである。

養蚕・生糸産地において、1908(明治41)年に創業。約12工程からなる伝統技法に基づく、手間をかけた「音づくり」をひた向きに志向し、顧客・演奏家の信用・信頼を獲得してきた。また、製品ラインナップの拡充を図り、化学繊維製の絃の開発・販売にも成功した。近年では、市場開拓や情報発信に注力。海外からの引き合いもあり、2013年には中国伝統楽器(古琴)絹絃を開発、本格的な輸出が始まった。

代表取締役社長の橋本英宗氏は「『音をつくる』特殊な業種・業界にあって、これまで積み重ねてきたノウハウとこだわりが国内外から評価されてきている。絹絃・化繊絃の総合メーカーとして能力を発揮していきたい」と話す。国内ではわずか数件が残るのみの伝統産業。その継承と発展とを見据えた姿勢をベースに、研鑽を重ね、挑戦を続ける。

2017年12月11日

丸三ハシモト株式会社 :

滋賀県長浜市木之本町木之本1427
【丸三ハシモト株式会社 HP】

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
名城大学経済学部特任助手を経て、2017年より岐阜経済大学経営学部講師に着任。日本中小企業学会幹事。駆け出しの研究者としてフィールドワークを重ね、中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文